現象ドリブン思考と理論ドリブン思考

入山章栄著「世界標準の経営理論」という本を読んでいます。

 

この本、820ページもあって読み通すのが大変なのですが、私のような実務家にも多くの示唆を与えてくれる傑作です。ビジネスマンが理解できる水準まで内容のレベルを調整して書いてくれているのがよくわかります。

 

序章に示されている「現象ドリブン思考」と「理論ドリブン思考」という考え方については、これまで経営学の勉強をしてきた中でのモヤモヤが晴れた気がしましたので、ここで取り上げます。

 

「現象ドリブン思考」とは、「現実のビジネス事象に興味があって、すでに出来上がった理論をそこに応用する」思考のことです。ビジネススクールの教科書やカリキュラムはこの思考でできています。

 

「理論ドリブン思考」とは、主要な経営理論(著者いわく30コほど)を思考の軸にして、ビジネス現象の本質を切り取る思考のことです。

 

この説明により理解できたのが、「現象ドリブン思考」では、一つの事象を色々な経営理論で説明できてしまう、ことによる「思考の浅さ」が問題となってしまうということです。

 

中小企業診断士を取れる程度の知的水準があるビジネスマンが経営学を自分の血肉として使えないのも、物事の本質を掴めていないからではないかと強く感じました。

 

現象に着目するのは重要ながら、経営学が蓄積し、生き残ってきた理論には、物事の本質を切り取る力があるそうです。

 

この本を自分の血肉にすることで、今までと異なる世界が見えるのではないか。週末の外出も制限される中での課題図書として取り組んでいます。